鶴見俊輔他『日米交換船』

 太平洋戦争の開戦をきっかけに、日米双方に居住していた敵国民を船で互いに送り返す交換船についての証言録。前半は当事者の一人であった鶴見に対する加藤典洋黒川創によるインタビューで、後半は黒川による日米、日英交換船の巨視的・微視的な解説。交換船の存在自体は承知していたが、当事者へのインタビューと一次資料に依拠して設立の経緯、航行の経過、船内での生活、交際関係などを叙述した本書を読み、理解を具体的なものにできたような気がする。日本近代史における閨閥の奥行きに支配階級の実在を感じる。

日米交換船

日米交換船